「それから・・・おちんちんからクリームが出たのを見たのは、誰にも言っちゃいけないよ」
「子供は美味しさを知らないって言ってたクリームの事だね」
「そそ。あれは大人しか知らない事だからね。恵夢ちゃんのように小さな子供がそんな話すると『なんでそんな事知ってるの!?』って怒られちゃうよ。特にお父さんにね」
「パ・・・パパに怒られるのは嫌だ・・・」
恵夢は過去に軽い気持ちで仕掛けたイタズラを、父親にこっぴどく叱られた事があり、それ以来自分の行動絡みで父親が関わってくるのが嫌なのだ。
「だからね、ここでパフェ食べた事は秘密にしてね」
「うん!」

「そろそろお母さんの買い物が終わる頃じゃないかな」
「まだ時間かかりそうだよ・・・」
母親の買い物の時間掛かりぶりは、娘の方がよく知ってるかもしれない。
「早めに戻った方がいいんじゃないかな」
「うーん」
「迷子のお知らせの店内放送で名前が流れたら、面倒な事になると思うよ」
「どこに行ってたの!とか、ウロウロしないでよ!とか、怒られちゃうし・・・」
「うん。それに、店内放送で名前が流れたら、もしこのデパートで同じクラスのお友達がいて、これを聞いて『恵夢ちゃん迷子になったんだ~』って、からかわれるかもしれないからね」
それを聞いた恵夢は、頭の中で、『やーい迷子~!』『もう小学生なのに迷子になったんだ~』と、クラスメイトにからかわれる光景を想像したのだった。
「それは・・・嫌だ・・・」
「だからね、早めに戻った方がいいと思うんだ」
「うん、そうする・・・」

「じゃあね恵夢ちゃん」
直樹はそう言って手を振った。
「うん。ありがとう、ごちそうさま、マイクさん」
恵夢はそう言って、階段を下りて行った。

恵夢の母親は、同窓会の服とアクセサリーが決まったあとで、レジで支払いの際中だった。
「お母さん、ここにいたんだね!」
少し離れた所から、恵夢が声をかけた。
「うん。服もアクセサリーもやっと決まってたの・・・ごめんね待たせて」
「ううん、いいの」

母親は支払いを終え、紙袋に入ってる買った物を手に持ち、
「今、何時だっけ・・・」と、スマホを確認した。
「あら!もうこんな時間!夕食作る時間あまりないから、お惣菜を買って帰ろうかしら・・・」
同窓会に行く服とアクセサリーが決定したらパフェ食べに行く約束をすっかり忘れてたかに見えたが・・・
「ああ、パフェ食べに行く約束だったけど、また今度にしてね!ごめんね!」
そんな母親の言葉に対して、恵夢は怒らすに、
「うん!また今度、ここのデパートに着たらパフェ食べようね!約束だよ!」と言った。
『パフェ食べるって約束じゃないかー!』って怒るかと思っていた母親だったが、
約束を延期する事に対して許している、という事を、成長したんだな、と勘違いしたのだった。

<終わり>

(前のページに戻る場合はブラウザで戻ってください)

小説のページINDEXに戻る

サイトトップページに戻る


モカの夜更けのティールーム
https://moka-tearoom.achoo.jp/