「トリックオアトリート!」
そんな事を言いながら歩いている小学1年の女の子がいた。
彼女の名前は藍華(あいか)。
そして彼女と一緒に成人男性も歩いている。
その男性の名前は信彦(のぶひこ)。
藍華の親戚で、いわゆる『親戚のお兄ちゃん』であった。

藍華は信彦に、たくさんのお菓子を買ってもらい、とても上機嫌だった。
と言っても、今日はハロウィンではない。
今日は藍華が父親も母親も夜まで仕事で帰ってこないため、親戚の信彦に預かってもらっているのだ。

場所は変わって信彦の家。
といっても、彼はシンプルなマンションでの一人暮らしである。
信彦の家の中は片付いていて、部屋の中はシンプルなものであった。
-----もちろん、親戚が家に来るという事で、見られたらマズイ物は押し入れにみんな入れていたのだった。
幼女は容赦なく、「家にエッチなゲームや漫画やDVDが、たくさんあったんだよー!」と、親に報告するからだ。

今日は信彦は藍華を預かるのだが、それだけでなく、いろいろと藍華の親から注文を受けていたのだった。
まずは、ハロウィン向けのお菓子の判断。
駄菓子や個包装だという事だけじゃなく、子供同士で受け入れられるお菓子か、という事はもちろんのこと、
お菓子の交換をする友達の親にも受け入れられるか、というのも重要なのだ。
まあ、ママ友同士の見栄はりの一環といったところか。
そして、ハロウィン仮装のチェック。
これは普通に着れば問題ないのだが・・・

藍華はさっそくハロウィンに着る予定の衣装を着て、ポーズを決めながらこう言った。
「マジカルバトルレディのレイラ登場!」
「おっ、いいねえ!藍華ちゃんはレイラの服なんだ」
関心しながら信彦が言った。
ピンクのバトルステッキを構えて藍華が言った。
「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!」
そう言われ、信彦は「はい。レイラの大好物チョコレートマカロン♪」と言って、
今日買ったチョコマカロンを差し出したが------
藍華はニヤリと笑い、
「お菓子をくれてイタズラするぞ・・・」と言って、
信彦に抱き着いたのだった。

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