「希美さんだね?」
希美はTシャツ姿のラフな格好の男性に声をかけられた。
場所は、とある駅の前。
『ロジャー』に電話をかけたところ、時間と、この場所を指定され、
「そこで待っていて」と希美は言われていたのだ。

「はい。電話した希美です。ロジャーさんですか」
なんだかオフ会の待ち合わせのようだが・・・
「そうだよ。と言っても、俺の名前がロジャーじゃないけどね」
話しかけて来た男がそう言った。

「ここで立ち話もなんだし、さっそくだけど事務所に来てもらおう」
その言葉と共に、希美と男は、とあるマンションの一室へ向かった。

「やあ、君が雅也に夢中の希美君かい」
事務所のマンションの部屋に入った希美は、中にいる男にそう言われたのだった。
希美は照れながら「はい・・・」と言った。

事務所と言っても、部屋の中は事務テーブルとイスがあり、
隅には流し台と簡易的なソファがある、シンプルな様相であった。

「・・・もちろん、普通のバイトではないという事は、わかってるね?」
中にいる男が言った。
「はい」
「よし。じゃあ説明を始めるか。椅子に座りなさい」
「はい」

「まずは軽く自己紹介だな」
「はい。△△会社に勤める-----」
自己紹介と言われ、さっそく話始める希美だったが、
「あ、いや、希美君じゃなく、こっちの紹介だよ」
と言われてしまった。
「ああ、すみません・・・なんだか面接みたいで、つい・・・」

「自己紹介というのは、俺達の事さ。まずは駅前で待ち合わせに行ったヤツの名前はユウだ」
「はい」
「そして俺の名前は竜二(りゅうじ)だ」
「はい」
「名前がわからん事には、何も出来んだろ。連絡の時とか」
もちろん、ユウも竜二も、雅也同様に本名ではない。

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