テーブルには空になった牛丼の容器が2つ乗っている。
昼食として買ってきたものだ。
光男はか空容器をゴミ袋に入れると、
「今日は昼からゲームしよっか。ゲーム機は持ってきてるよね?」
と言った。
「うん!」
即答する琴美。
「何する?」
「フェアリーワールド」

「俺もそれやってるんだよ」
光男はそう言ってゲーム画面を見せた。
フィールドや手持ちアイテム欄には、有料限定アイテムがズラリと並んでいる。
「いいなあ!私は有料アイテムが手に入らないんだあ・・・」
琴美は7歳なので、保護者からはゲーム機には制限をかけられている。
主にオンラインで知らない人と通信できない、有料アイテムが買えないなど。
なので、欲しいアイテムがあるけど有料の場合、あきらめないといけない。
「クラスメイトのマキちゃんは、有料アイテムは親に買ってもらったりして、うらやましいんだ・・・」

「琴美ちゃん。欲しいアイテムあったら、あげるよ」
無線通信でアイテムのやりとりをするのだ。
「えっ!いいの!?」
琴美は一瞬喜んだが・・・
「ああ・・・でも・・・」
「どうしたの?」
「有料アイテム買えない人が、高額なパール(ゲーム内通貨)と交換するって人が多いんだ・・・
 20万パールと交換!とかね。私そんなにパール持ってないの」
「いや、パールは要らないよ。琴美ちゃんならね」
「えっ!でも・・・」
やはり子供でもタダで物をもらうには抵抗があるようだ。

「じゃあ、こうしよう。欲しい有料アイテム1個につき、白色木の実2個と交換だ」
白色木の実は、このゲーム内では安価で手に入りやすいアイテムだ。
「・・・いいの?」
「もちろんだよ」

そして数分後。
自分のゲーム画面に、欲しかった有料アイテムが並んでいるのを見て、
とてもうれしそうな琴美の姿があった。

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