「ほら見て」
直樹はカップのバニラのアイスクリームを、手にしているカバンから取り出して見せた。
「わあ、すごい!」
アイスクリームを見て驚く恵夢。
驚くもの無理はない。このアイスクリームは小さいながらも300円ぐらいする高価なもので、子供はめったに食べられない物だ。
そのアイスクリームのカップを開け、中のフィルムを剥がすと、綺麗な白いバニラアイスが顔を出した。
「わあ・・・」
恵夢が声をあげる。
「バニラだけじゃないよ。チョコとストロベリーもあるよ」
そう言って、チョコとストロベリーのアイスもカバンから取り出して見せた。
そしてバニラと同様にフタを開け、中のフィルムも剥がす。
「わあ・・・」
再度声をあげる恵夢。
直樹はスプーンを取り出し、バニラアイスをすくうと恵夢に向け、
「あーんして」と言った。
素直に口を開ける恵夢。そして口の中にはバニラアイスが入っていった。
嬉しそうに恵夢は「おいしい~」と言った。

「アイス以外にもあるんだよ」
そう言ってカバンの中に手を入れる直樹。
「わあ♪」
期待と歓声を恵夢はあげた。
「クリームもカットフルーツもあるよ」
「わあい♪」
「言ったじゃないか。パフェ食べさせてあげるって」
「うん」
直樹はハンディタイプの絞りだしクリームをカバンから取り出した。
生クリームとカスタードクリーム。
さらにはパックに入ったカットフルーツも取り出す。

直樹は、さきほどのスプーンにカスタードクリームとカットフルーツを乗せ、
「はい、あーんして」と言って恵夢に差し出した。
素直に口を開ける恵夢。そしてその口にカスタードクリームとフルーツが入れられる。
「おいしい・・・」
嬉しそうに恵夢が言った。

「これだけじゃないんだよ」
そう言われ、恵夢は嬉しそうに-----いや、嬉しいどころか興奮した状態で、
「まだあるの!?」と言った。
「チョコレートソースと、キャラメルソースだ」
「わあ・・・♪」
直樹はスプーンにチョコクリームを乗せ、恵夢に差し出した。
そして先ほどと同様、恵夢は口を開け、チョコクリームが入れられて行った。
「チョコソースだけ食べられるなんて・・・!」
うっとりした様子の恵夢。普段チョコソースだけ食べるなんて子供は出来ないからだ。

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