「はいっ!おつかれさまでした!」
撮影スタッフが声をかけた。

「意外と撮影された状態でエッチするの、気持ちいいかも・・・」
顔に白い液体がかかったままの状態で葉月が言った。
「知らない自分が開花した感じだね。さあ、シャワーを浴びてきてね」
撮影スタッフが言った。
「顔を洗いたいのはもちろんの事、あそこもお湯で洗い流したいわ・・・」
案内された場所のシャワーに葉月は入って行った。

シャワールームで身体を洗う葉月。
入口扉の模様付きのガラス越しに、撮影は続けられていた。
シャワーのお湯の音も、しっかりと収録されている。

シャワーを浴び終え、もとの制服を着た葉月は、改めて撮影現場の椅子に座った。
「おつかれさま。これバイト代です」
里奈が封筒を差し出した。
「はい。ありがとうございます」
封筒を受け取る葉月。
「開けて見て」と里奈が言うと、葉月は素直に封筒の中を見た。
「わあ・・・」
思ったよりたくさん入っていたので、思わず数えてみた。
「・・・8枚・・・。いいんですか、こんなにたくさん!」
そんな反応の葉月に、里奈はクスクスと笑いながらこう言った。
「ええ。いいでしょう、この世界」
「こ、心が揺れ動くわ・・・」
自分の手の中にある現金という現実に、葉月は心が揺れ動いたのだが-----

しばらくして、ここに来た時に最初に対応したスーツ姿の男が現れた。
「おつかれさま。いい動画が撮れたよ」
「ありがとうございます」
素直にそう言った葉月だが-----
「これ、俺の名刺」
スーツ姿の男が葉月に名刺を手渡した。

「オレンジムービー代表 清水正彦・・・」
葉月は名刺に書かれている名前を見て驚いた。
「もしかして・・・オレンジテーブルと同じ系列・・・?」
「そうだよ。オレンジグループのひとつなんだ。ただ、こちらは事業の内容的にはあまり表向きにならないけどね」

オレンジグループは手広くやっている業者であった。
葉月が言ってるオレンジテーブルも、そのひとつで、こちらはキッチングッズの通販の会社であった。

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