むかしむかし、ある国に、白雪姫という王女様がいました。
白雪姫の実の母は幼いうちに亡くなっており、
父親はのちに違う女性と結婚し、新たなお妃様が、白雪姫の母親代わりとなっていました。

新たなお妃様は、とても美しく、常日頃から魔法の鏡にこう問いかけていました。
「鏡よ鏡。この世で一番美しい女性は誰?」
魔法の鏡はいつも『それはあなたです』と答えていました。

彼女の義理の娘、つまり白雪姫は、成長するにつれ、美しくなっていき、
魔法の鏡の答えも、変わるようになってしまいました。
「鏡よ鏡、この世で一番美しいのは誰?」
「それは白雪姫です」
この答えに激怒したお妃様は、一番美しい者を始末したいと考えました。
「義理の娘だろうと関係ない!」と言いながら・・・

お城に狩人が呼び出されました。
「お呼びでしょうか」
「白雪姫を森に連れ出して始末してちょうだい!」
頭に血が上った状態のお妃様は、そう言ったのだった。
狩人は普段は動物を仕留めるのが仕事で、人間を仕留めた事はない。
しかし国のお妃様の命令を聞かないわけにはいかず、
「はい、承知しました」と答えたのだった。
ところが、こんな追加注文も出てきて狩人は困惑した。
「仕留めた証拠に、白雪姫の心臓を持ってきて!」
もちろん、お妃様の命令を聞かないわけにもいかない狩人は、
「・・・はい。ちゃんと心臓も持って帰ります」
と答えたのだった。

「・・・でもなあ・・・」
狩人がつぶやいた。
「何の悪事もしてない女の子を殺生するのもなあ・・・」
白雪姫を仕留める依頼は狩人は気が進まなかった。
もちろん、引き受けたのは国のお妃様の命令だから、という理由はもちろんの事-----
白雪姫を仕留めた証拠の心臓と引き換えに、たっぷりのご褒美が出るという事もあり、
動物を狩るだけの仕事で豊かな生活が出来ない彼は、褒美の話で心が傾いて引き受けたのだった。

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