「楽しみだわ」
白雪姫が言った。
森の中には今、狩人と白雪姫がいる。
狩人は、「野生動物がよく観察できるスポットに行こう」と言って白雪姫を森に誘い込んだのだ。

「すまない白雪姫」
狩人が言った。
「どうしたの?」
白雪姫が聞き返す。
「野生動物がよく観察できるスポットを見に行こうと言うのは嘘なんだ」
「ええっ!?」
驚く白雪姫だったが-----

「実は、お妃様-----つまり君の継母に、君を殺すように命令されたんだ」
狩人の言葉に白雪姫は、さらに驚いた。
「わ、私・・・ここで殺されるの・・・?」
「あ、そうじゃない。君は逃げてくれ、って事だよ」
「一緒に逃げてくれるの?」
白雪姫は幼くはないが、まだ子供ではある。
狩人に手を引いてもらって逃げるのかと思ったのだったが-----

「いや、ひとりで逃げてくれ。俺は城に戻って白雪姫を殺したいう知らせをしないといけないからな」
「ひとりで・・・」
「殺した証拠に心臓を持ってこいって言われてるんだ。だから、代わりに野生動物を仕留めて心臓を取り出して持って行くんだ。
 ここからは、ひとりで行動してくれ」
そう言って狩人は足早に去って行ってしまった。

森に残された白雪姫。
ひとりで森に来ることはあるものの、今日は来た事ないぐらい奥まで来ているため、
どちらに行けばいいのかわからないのだ。
いや、来た道を引き返せば戻れるのだが、自分が殺されるためにここまで来たという事もあり戻っても仕方がない。
ましてや、こんな状況だとお城にも帰れない。
白雪姫はしばらく立ちつくしていたが、しばらくしてさっきまでの進行方向に歩いて行った。

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